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「セシル、ちょっと聞きたいんだが」
セシルと二人でお茶を飲んでいたカインは読んでいた雑誌から顔を上げ、向かいの友人へと声をかけた。
「なに?」
椅子から腰を浮かして差し出された雑誌を覗き込んだセシルに向かい、カインが指さしたのはディシディアの特集ページ。セシルの特性が記載されている記事だった。
「これ、『聖騎士セシルは空中戦が得意、技はセイントダイブ』って。おまえが空中戦が得意だというのは今まで聞いたことなんてないし、ダイブっていうのも俺のジャンプに似ている気がするんだが。武器も剣や杖というよりは槍のようだし、俺のモチーフが混じってないか?」
「あ、うん、ごめん。勝手に借りたんだ。ほら、おまえはタイトルロゴにまでなってたけど、今回ディシディアに出るのは僕と兄さんだけだから、何とかおまえの存在をアピールしたいって言うか、要素をねじ込みたくってさ。だから聖騎士スタイルではおまえの動きを使えるようにしてもらったんだ。一応バレないように技の名前は変えたんだけど、やっぱり分かったか」
元の席に腰を下ろしたセシルはカインの指摘に悪びれた様子もなく、しれっとしている。
「バレたかって…FF4のプレイヤーは、もうこれセシルじゃなくって中身はカインじゃね?って思ってるぞ」
「別にいいよ。カインと一心同体だと思われるのはむしろ歓迎だ」
「そう言う話では…」
「おまえの評判を落とさないためにもしっかり戦ってくるよ、大丈夫。カインの技で兄さんをぎったんぎったんにできるのかと思うと今から楽しみなんだ。兄弟喧嘩って一回ぐらいはやってみたいし」
「後で恨まれるのは俺なんだが」
「僕とカインとの技で攻撃されて怒り狂う兄さんが見れるなんて嬉しいなぁ」
「いつからそんなに腹黒くなったんだ、おまえ。聖なる愚者、姑息な策略とは無縁の馬鹿正直という印象がズタズタだぞ」
「おまえが二度目に僕を裏切った時かな。おまえが僕より兄さんを選んだのが悪いとは言え、そんな風にそそのかしたのかと思い出すとね、こう…一発殴ってやりたくなるじゃないか」
にこやかなセシルではあったが右手はしっかりと拳を握っている。どうやらふざけているのではなく、本気のようだ。
確かにセシルは裏切ったカインを責める事もなく、ゴルベーザが正気に戻ったが故に勝負する機会もなく、胸中ではもやもやしたものを抱えていてもおかしくはない。複雑な事情と軋轢のある兄弟だけに、一発殴ってお互いすっきりできるのならそれに越した事はないが…。
「確かに本編ではあの後、ゴルベーザを一発殴る機会はなかったな」
「おまえの技で兄さんがダメージを受けるのも、それでおまえが恨まれるのも、そっちの責任。僕は守るべきものの為に戦うだけだよ」
にっこりと微笑むセシルの表情を見たカインは、だったら人の技なんで真似してくれなくてもいい、無理やりディシディアに俺の要素をねじ込まなくっていいからと言いたいものの、そんな事を言えない自分の立場を恨めしく思うしかできないでいた。
そんなカインの頭痛に気づかないセシルは「本編の兄さんは部下は居ても仲間がいないから、カオス側で友達ができるといいんだけどなぁ。エクスデスと並ぶと白と黒で初代のプリキュアっぽいし、なんだかクワ方とカブトムシみたいで面白いから、この二人で仲良くなればいいのに」などと呑気な発言をしながら、記事を眺めつつ発売日を心待ちにしている様子。
「あっ、ほらこの技のサンプル画像の兄さんって、技が決まってやったぁ!ってはしゃいでいる感じでかわいいよね。勿論僕も反撃するのに手加減なんてしないけどさ」
その言葉を聞いたカインは、回りの連中は壮大な兄弟喧嘩に巻き込まれてさぞかし迷惑だろうと思うのだった。