「なんで俺がこんなものを咥えなければいけないんだ」
ぶすっとしたカインは不機嫌全開でセシルに問う。だが、セシルはにこにこしたまま、カインが舌を這わせる様子を見つめていた。
「だって今年は丑年だし。おいしい、カイン?」
「こんなものが好きな奴の気が知れない」
「僕は好きだけどな。口の中がこれで一杯になるのは嬉しいよ。この温度がたまらない」
「…そろそろ終わらせていいか?」
「まだだめだよ。もっとよく味わって」
「っ…口が疲れてきたんだが」
「ほらもっと根元の方から舐めて。そう…上手だよ、カイン。先っぽはちょっと味違うだろう? 濃いのが口に溢れてくると、たまらなく幸せになるんだ」
「舌、痺れてきた」
「もう、こらえ性がないなぁ。や、歯、立てたら…」
「黙ってろ。一気にいくぞ」
「分かったから…最後までちゃんとしゃぶって…」
「いちいち指示してくるな。俺の好きにさせろ」
「っ…そんな乱暴に…や、だめ…」
セシルの言葉など知った事かといわんばかりのカインは大きく口を開け、ねぶり続けていたものを一気に口の中に含む。乱暴なやり方のせいでセシルの眉間には深い皺が刻まれていた。最後を心配してかカインは根元までを喉の奥に咥え、やがてゆっくりと引き抜いた。
「もう、ひどいやカイン。あ、口の周りが白くベタベタに…欲張るからだよ。…絞りたてはおいしかった?」
「先端の練乳がいいが、一番最初に味の濃いのを持ってくると、後の味が素っ気ないな。リディア特製のアイスだから勿体ぶりたいのは分かるが、俺はちろちろ舐めて食うのは性にあわない。売り物には間違ってもブリザガなんてかけるなよ。あと、棒の回りに凍らせただけだと、最後の一口は落下しそうで怖い。もっと棒を短くしないと喉の奥を突くぞ」
変な所でセシルの言葉に忠実に従い、軸となっている木の棒を舐め上げた後、カインは素直な感想を漏らした。
復興のため、ミストの名物にするんだと言いながらリディアが絞りたて牛乳を使ったアイスの試作品を持ってきた。それはいいのだが、運搬の都合上、ブリザガで固めてきたので最初は言葉通りに歯も立たず、舐めて溶かす必要があったのだ。ミルク好きなセシルは最後まで舐めて味わいたい派らしいが、カインはガリガリとかじってしまいたい派であった。
「だって、噛むと歯に滲みるんだもん。カインが食べる所だって見ててやだよ」
心底嫌そうな顔で頬を押さえたセシルを、カインは呆れ顔で見つめる。
「歯医者に見てもらえ、歯医者に」
「歯医者…怖い」
睨むカインから目を背けたセシルではあったが、すぐに何かに気づいてカインへと顔を近づけた。
「口の周りベタベタだよ、カイン。いやらしい顔みたい」
言うが早いかカインの唇に舌を這わせたセシルはそのまま唇を重ね、冷たい口内へと侵入すると甘く凍えた舌に自分の舌を絡ませる。
カインの舌に温度が戻ると同時に離れたセシルは微笑むと、「ん…甘くておいしい。今年もよろしく、カイン。なんなら早速今晩にでも僕が舐めてあげる」と屈託なく告げた。
だが、その顔にはさっきまでカインが舐めていた木の棒が投げつけられる。
「一人で搾乳でも姫初めでもやってろ、俺はこれ以上は絶対に付き合わないからな!」
新年のお約束ですね。搾乳というのはもちろんエロい方向で
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- 2009/01/05(月) 00:02:49|
- FF4 801|
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