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● <重力システムです
● <浮遊システムです
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● <迎撃システムです
三機合わせて
●―敵―●
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●
セクターレイ!
いっぽうそのころ…
↓ 制御システム
● <くそっ、迎撃の奴、一人だけ出世しやがって…。けっ、楽しそうにやってやがるぜ
↓ 防御システム
● <いいじゃないか…制御、キミだってダンジョンのヘルプに出られたんだからさ。僕なんて…僕なんて…
●<防衛…おまえ…
再び012世界
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● <でもさー、よく考えたら俺らってそのままコズミックレイ出した方が早くね?
● <あ、おまえ、言ってはならん事を…
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●<(涙ぐみながら奥歯を噛み締め)……これは制御と防衛を置いてきた俺の罪か…。
アシスト時に出るのは迎撃だし、なぜ迎撃だけこんなに贔屓されているのだろうか(奴のどこに奥歯があるのかなどとはつっこんではならぬ)。
ジタンを見つけたクジャは急降下。彼は身にまとった白布をはためかせながら、風に遊ぶ花弁を思わせる美しさでジタンの前に舞い降りた。
突然の来訪を予想もしなかったのだろう、ジタンは慌てて自分の身体の後ろに何かを隠す動きを見せ、一、二歩後ずさる。
「会いたかったよジタン。…今、何を隠したんだい、随分と大切そうだね?」
「な…なんでもねえよ」
まるで愛の言葉でも口にするかのようにうっとりと囁いたクジャに対し、じりじりと足を後ろに引くジタンは一刻も早くこの場から立ち去りたい様子。仲間や大切な者達が関係している場合はともかくとして、個人対個人の場合は懐の広さを表すように余裕ありげな表情を浮かべるジタンにしては、珍しい反応だ。
彼の慌てぶりを目に止め、ふふんと笑ったクジャは髪をかきあげた手を降ろさずに、そのままジタンの方と細く白い指を差し出した。優雅と言えば優雅だが、随分と計算されて芝居がかった動作がジタンの青い目に映りこむ。
「おかしいな、ボクに渡すものがあるんじゃないのかい?」
もう片方の手を軽く握り、唇のすぐ近くに持っていったクジャは、残忍でいて楽しそうな薄い微笑みを浮かべていた。
「おまえにやれるもんなんか持ってないって、そんなに絡むなよ」
「へぇ…キミとボクとの仲なのに、随分とつれないじゃないか」
言うが早いかクジャはジタンの脇をすり抜けるように接近、背後に回っていた相手の上腕部を掴むと勢いよくひねり上げた。その弾みにジタンが隠していたものが手から零れ落ち、クジャは残った手で素早くその物体をキャッチする。
同時に彼はジタンの手を解放し、手の届かぬ距離まで離脱すると、優美なカーブを描いてから空中で止まった。視線は手の中に捕獲した、リボン付きの小さな箱へ注がれている。
ジタンは歯軋りをして、むしりとられた箱を我が手に奪還せんと襲い掛かる距離を測っているが、そんな事などお構いなしのクジャの目尻は上がり、実に満足そうな微笑みを浮かべていた。
「なんだ、やっぱり持ってるじゃないか。素直じゃないね…じゃあこれはもらって行くよ。ホワイトデーには三倍返しのホーリを用意しておくよ、期待しているがいい」
飛び出したジタンの掴みかかる手を余裕ですり抜けたクジャはふわりと高く宙に浮き、そのまま高笑いだけを残して逃げ去ってしまった。
「待てよ、おい! それはティナからもらった大切な――」
大声で叫ぶも、ジタンの声はもうクジャまで届かない。クジャが消えた場所にくすぶっていた黒炎も空に溶けるように収束し、追っ手のかけようがなかった。
舌打ち一つしたジタンは顔を曇らせて頭を掻いた。
「ティナに…謝ってくるか」
歩き出したジタンがしばらく行くと、目的の姿がすぐに目に入る。
「どうしたの、ジタン? そんな暗い顔して」
いつも陽気でくだけた感があるジタンが珍しく渋い顔をしている事に、さすがのティナも気づいたようだ。ジタンは小さく肩をすくめてから、素直に頭を下げた。
「ごめん、ティナ。さっきもらったチョコなんだけど…クジャにぶんどられた」
嘘はつけないが、正直に言ってしまったらがっかりされるだろうな、レディからもらった心の篭ったプレゼントを守れないとは情けない、ティナには心底悪かった…と、クジャ登場の直前まで浮かれていたジタンは反省しきり。
しかしティナは僅かな間キョトンとしただけで、すぐにくすりと笑った。
「ぶんどるのは盗賊の専売特許なのに、お株を奪われたからそんな顔なのね。あのチョコはね、ケフカからもらったものだから、気にしないで」
ティナがわざわざ自分の為に選んだものではなく、ケフカからの流用品だった事にいささかショックを受けるジタンであったが、不器用そうなティナの事を考えればそれも仕方があるまい。こういう時は相手に対して即座にフォローを入れる事が重要であり、好感度を上げるポイントと知っているジタンはすぐに口を開いた。
「でもさ、作った奴が誰でも、オレがもらったのはティナの気持ちが『ぎゅっ…』と詰まったチョコに変わりはないだろ」
「義理っていうものが果たせたなら、私はそれでいいの。そういった所はちゃんとしなきゃダメですよって、コスモスが言ってたの。そういう愛の形もあるんだって」
はっきり面と向かって義理と言われたジタンは益々落ち込むのだが、愛というものを知らぬティナには彼の落ち込む理由はついぞ分からず。
そしてまた、ケフカ特製の「プレゼントforティナ」チョコを食べたクジャはその後しばらく謎の失踪を遂げるという事も、今の時点では誰も予想しないのである。
ケフカ特製チョコは幻獣ハーフには胃に優しくおだやかに効く成分配合。しかしジェノムには超肌荒れとか起こしそう。クジャは吹き出物が一個出ただけでも部屋に篭りそう。
腰を上げたスコールは、読んでいた本の開いたページをひっくり返したままで伏せ、自分を呼んでいるジタンとバッツの元に向かった。
その光景に通りかかったオニオンは置かれた本を拾い上げて「こんな置き方したら本が傷んじゃうよ」と小さくぼやいた。
しかしよく見ればその本にはいくつかの栞が挟んである。
栞が足りなくての処置だったのだろう、後で綺麗な木の葉でも拾ってきてあげようかと考えたオニオンはふと興味がわいて、栞が挟んであるページをめくってみた。
表紙に「アルティマニアα」と記された本は、自分達の紹介が載せられている本だった。スコールは自分のページを見ていたようだが、果たして栞のページには何が、誰が載っているのだろうかと気になったのだ。
栞が挟んであるのはフリオニール、ジタン、ティーダ、ティナのページ。なんだ自分はスコールから大して興味を持たれていないのかなと、オニオンはややがっかりして本を閉じかける。
「何してるんだい、オニオン?」
背後からの声に驚いて振り向けば、難しい顔で本を見つめていたオニオンを気にしたセシルが腰を屈めて覗き込んでいた。その後ろには無言のクラウドも立っている。
「あ、ううん。本が落ちてたから気になってさ。誰のか分かってるからいいんだ」
慌ててオニオンは本を閉じて胸の前にしっかりと抱えてみせる。表紙を隠したから、セシルには見られていないはずだ。
「そう? それならばいいけど。随分真剣な顔だったから、何が起きたのかと思ったよ。…野暮は言わないけど、あまり刺激の強いものは見ちゃだめだからね」
笑うセシルは小さく手を振って去り、いぶかしげなクラウドもそれに続く。彼らの姿を見送ったオニオンは安堵のため息をつくと、再び本をそっと開いた。さっきは見落としていたが、それぞれのページに赤線が引いている事に気づいたのだ。
いや、正確に言えば、見落としていたのはその法則性だ。
フリオニールのページには『青年』、ジタン、ティーダのページには『少年』、ティナのページには『少女』という単語に赤線が引いてある。栞こそ挟まっていないものの、セシルのページには『好青年』という箇所に、バッツには『青年』、クラウドのページには『青年剣士』という箇所に赤で印が入れてある。
それを見たオニオンは、改めてスコールが見つめていたページを見直した。
果たしてその瞳には『17歳の剣士』という部分にぐるぐるとつけられた赤丸が映っていた。その脇にはとても小さく『?』の記号。
栞が挟まってたページの者はどれも、スコールと年齢が近い。だから年齢不詳だがどう見ても十代ではないWOL、二十歳を超えているセシル、バッツ、クラウドのページには挟まっていなかったのだろう。
静かに本を閉じたオニオンナイトは深く深くため息をついて、この秘密は自分ひとりの胸にしまっておこうと固く決意をした。
そして同時に、クールぶっている割に、少年なのか青年なのかはっきりと明記されていない自分は一体周囲からどう見られているのかをとてもとても気にかけているスコールを、ちょっと可愛いと思うのである。
妙な所でスコールへの好感度を上げたオニオンは、スコールが元の世界でいたいけな子供から「おじちゃん」と呼ばれ、ひどく傷ついた経験があるなどとは、知る由もない――。
唸り声を聞いて顔を出したバルバリシアは、机に向かって腕組みしている火のルビカンテの姿を見つけた。
彼の前には白い紙がぽつねんと置かれている。所在なさげな紙を前にしたルビカンテといえば、念力でそこに書面を浮き出させようとでもいうような、凄まじい顔つきだ。
「報告書? 提案書? どっちにしても実動部隊は厄介だこと」
ほほほと涼やかな声で笑う彼女がルビカンテの横に立つと、目を閉じ眉間に深い皺を刻んで苦悩に唸っていた彼は目を開け、バルバリシアを振り向いた。
「そんなものならば良い。今から書こうとしているのは嘆願書だ」
「まどろっこしいわね、兵の増強や物資の補給、作戦内容の提案ならば直接ゴルベーザ様に申し出ればよかろう。あの方はそこまで狭量でなくってよ。ルビカンテ、我らが主の器を見くびるでない」
「勘違いするな、バルバリシア。これを提出する相手はゴルベーザ様ではない。…DFF2にはアシストシステムというものがあってだな、早い話が戦闘中の術者の召喚により、他の者がサポートに入る事が可能なのだ。このルビカンテ、ゴルベーザ様のお役に立つべくアシストキャラとしての出演を果たしたい所存だ」
「前はゴルベーザ様だけでなく、他の連中にも力を貸してしまった部分が大きいが…そんなに出たいのか。ゴルベーザ様はいい迷惑かも知れぬぞ?」
我らが加担などせずとも、十分に主は強いではないかと言いたげなバルバリシア。
ブレイブが少ない相手が増加を狙っての召喚に対し、脊髄反射でミールストームを発動してしまい、ゴルベーザが溜め込んだブレイブととり変えてしまったまったバルバリシアとしては、苦い思いもあるのだろう。
似たような条件で、元々低い相手のブレイブを0にした所で大したダメージを与えなかったスカルミリョーネも同じ気持ちでいることだろう。さらに言えばスカルミリョーネは相手のブレイブが0の時に青いカーバンクルからルビーの光を使われ、反撃に呪いをかけたものの、元々0である相手はまったくのノーダメージ、召喚の無駄使いという失策もしでかしている。
かく言うルビカンテとして、ゴルベーザのブレイブが0の時に相手の召喚に反応したものの、0をいくら3倍にしようとも0である事に変わりなく、そろいも揃って役に立ったとは言いがたい。
本来召喚獣でない四天王が幻獣達を真似て頑張ってみたものの、どうにも間違った方向に力を発揮していた事は間違いなく、せめてアイテムだけでもと彼らが持参した武器防具ですら、ゴルベーザにとってはことごとく装備できなかったという事も大きい。バルバリシアはそこを指摘しているのだ。
しかしルビカンテは首を横に振った。
「いや、それだけではない。むしろ本題はこちらだ。DFF2には前作に加え、更に曲の追加がされるという」
「…それで?」
「前作での我らは出すぎた感があると思わぬか、バルバリシアよ」
「人気があって良い事ではないか」
「それによってもたらされた悲劇を忘れたか。我らが主、ゴルベーザ様のテーマはないというのに、我らがでしゃばってどうする」
「あ…」
「確かにゴルベーザ様はラスボスではない。しかし同じようにラスボスではないクジャとて、己のテーマ曲を引っさげているというのに。ゴルベーザ様がそのような些細な事を気にされるような方ではないのは承知している、しかし10の世界からはDFFに出演すらしていないシーモア戦の曲まで使われているのだぞ。これを重く見ずしてなにがゴルベーザ四天王か」
握り締めた拳を震わせ、悔しそうに奥歯を噛むルビカンテ。
彼の気概が伝わったのか、バルバリシアはそれまで浮かべていた妖艶な微笑みを美しい顔からすっと消すと「私もその嘆願書とやらの書き方を教えてもらおう。他の連中にも声をかけてくる」と言って姿を消した。
「うむ、頼む。ゴルベーザ四天王、今こそ協力の時。圧倒的な存在感を示し、耳にしたものを一筋の光も差さぬ絶望の底に叩き落す重層で無慈悲な美しい旋律を――繊細にして狡猾、絶対的な強さの中にも退廃的で耽美な風情も併せ持つゴルベーザ様の魅力を余す所なく表現したあの曲を、なんとしてもDFFに追加させるのだ。一丸となった我らが力、とくと見せてくれようぞ!」
かくして数時間後、紙を前にして熱烈に燃えながらも悩むルビカンテ、バルバリシア、スカルミリョーネ、カイナッツォの四人と、呼んでもいないのになぜか一緒に嘆願書を作成している竜騎士の姿が目撃されるのであったとさ。